シャルパンティエ効果とは?
重さの感覚が視覚的に見える大きさの影響を受け,物理的な重さの等しい物でも,体積が小さいほうが重く感じられる現象をいう。
出典シャルパンティエ効果(シャルパンティエこうか)とは – コトバンク
例えば「綿100kg」と「鉄100kg」を比べた時に、「鉄100kg」の方が重いのではないかと錯覚してしまう現象の事だ。
この錯覚を利用した数値の見せ方というのは日常でも色々と見かけるだろう。
■ビタミンC2000mg⇒ビタミンCレモン100個分
■オルニチン100mg⇒しじみ280個分
■4.7ヘクタール⇒東京ドーム1個分
■タウリン1g⇒タウリン1000mg
このように単位を変更したり、身近なモノに置き換える事でイメージしやすくなったり、インパクトを与えたりする事ができるのだ。
ゲームへの応用
例えばRPGやクリッカーゲーム何かで敵に攻撃した時のダメージ値を考えてみる。
・10000ダメージ
・100000000ダメージ
・1000000000000ダメージ
これらを見てすぐに「何ダメージ与えたか」を認識できるだろうか。
ダメージ表記は一瞬だけ表示されるのが一般的だ。そのためぱっと見の視認性がとても大事になる。
・10000ダメージ⇒1万、10k
・100000000ダメージ⇒1億、100m
・1000000000000ダメージ⇒1兆、1000b
このように見せ方を変更するだけで、大分視認性が上がったのではないだろうか。
常に表示されている情報、例えば所持金などに関しても様々な見せ方が考えられる。
■999999999
■999,999,999,999
■9999億9999万9999
■9999.99億
■999.99b(1billion=10億)
もちろんどれが良いという絶対解があるワケではない。
色々試してみて自分のゲームにあった見せ方を見つけてほしい。
数値の重みについて
ここで数値の重みについても触れておきたい。
例えばカードゲームのパラメータを考えてみよう。
一般的なカードゲーム(マジック・ザ・ギャザリング、シャドウバース、ハースストーン、ドラクエライバルズ等)の場合、攻撃力・HPは「1~10」ぐらいの分布になっている事が多い。
それに対し遊戯王カードゲームの場合、攻撃力・HPは「500~10000」ぐらいの分布になっている。
そう、遊戯王の場合、あえて高めの数値バランスにしているのだ。
これによりクリーチャーの強さ、攻撃時の爽快感が増幅されているのではないだろうか。
それ以外のカードゲームの場合は、数値が低く「1」の重みが大きい。
攻撃力を1上げて敵をジャストキルしたり、HP1でギリギリ耐えたりと戦略性が高い印象を持つ。
ゲーム開発の中でも数値の重みについては是非考えてみてほしい。
例えば以下のようなバランスのゲームがあったとする。
・ステージをクリアするとダイヤ1個GET
・ガチャを引くのにダイヤ5個消費
これを
・ステージをクリアするとダイヤ10個GET
・ガチャを引くのにダイヤ50個消費
に変更してみるとどうなるだろうか。
ゲームバランスに関してはどちらも同じだが、後者の場合は「ダイヤ1個の価値が低くなり、代わりに大量に入手、消費するバランス」になる。
どちらが良いかはやはりゲーム内容によるだろう。
ダイヤ1個の価値が高い方が嬉しい場合もあるし、逆にダイヤの価値が低くても大量にドロップした方が嬉しい場合もある。
ゲームのスコアなんかもそうだ。
例えば1ステージに敵が100匹出てくるゲームだと仮定しよう。
①敵1匹倒すと10点の場合⇒1ステージ最大1000点
②敵1匹倒すと10000点の場合⇒1ステージ最大1000000(100万)点
この場合、どちらの方が面白く感じるだろうか?
パズル、カジュアルゲームなら「①の方が分かりやすそう」で
シューティングゲームなら「②の方が爽快感が出そう」だ。
このようにゲーム内容によって適切な単位、見せ方は変わってくる。
最後に
ゲーム内で数値の「重み」や「見せ方」を適当に実装してしまってはいないだろうか。
もしそうであれば是非一度考え直してみてほしい。
「もしこのパラメータを10倍にしたらどうなるだろう?1/10にしたらどう感じるだろう?」
ゲームバランスには影響しない。ただ見せ方を変えるだけなのだが、効果は絶大だ。
是非あなただけの見せ方、魅せ方を見つけて、ゲームを彩っていただきたい。