じぶんコインにて「ゲームレビューしてもらう権利」を購入して頂いたので僭越ながらレビューさせて頂きます。
長文になってしまったが、面白くするためのアドバイスを詰め込んでいるので是非参考にして頂きたい。
■ゲーム名
ぴょこ田中の大冒険(Ver2.0)
https://www.freem.ne.jp/win/game/19063
※以下公開ページから抜粋
ウサギの「ぴょこ田中」が跳ねる2Dアクションゲームです。
スペースキーでジャンプ
左右キーで移動しかし、操作に一癖有り!
なんと三回しかジャンプできない!
全ステージクリアを目指せ!なんとUnityインターハイでブロンズアワードを受賞しました!
前回ゆっくり実況動画を作成させて頂いた作品だ。
まだ視聴していない方は是非ご覧頂きたい。
その「ぴょこ田中の大冒険」だが、今回Ver2.0になったとの事だ。
前回のポイントが改善されているかを含め、しっかりと見ていきたいと思う。
■タイトル画面
まずこちらがタイトル画面だ。前回のVer1.0と比較してみよう。
大きな変更点は以下。
・フォントの変更
・背景の木の削除、雲のレイヤーの変更
・「ステージセレクト」の文言追加
・「Nを押して操作説明」の追加
まずフォントについて。
今回使用されているのはドットフォントとなっている。
にも関わらずゲーム全体としてはドット感はあまり感じられない。
ドットフォントを使用するのであればゲーム全体をドットテイストにする等もっと統一感を出して欲しかった。
今回の場合は視認性の低さが目立ってむしろマイナスイメージになってしまっていると感じた。
視認性の高い他のフォントを試してみた方が良いだろう。
次に背景の木の削除、雲のレイヤー変更について。
すっきり感は多少向上したが、その分背景のチープさが目立ってしまっている。
背景はゲームの世界観を表現する重要な要素だ。単色のベタ塗りで済ませてしまうのは非常に勿体無い。
自分が思い描く世界観に合った素材を是非使って欲しい。
今回のように背景に木があるのであれば、「森」を全面に出してしまうのも手だろう。
次にステージセレクトという文言の追加について。
これに関しては少し説明的になりすぎている気がする。
「スペースで開始」「PRESS SPACE」「SPACE TO START」
ぐらいに留めて、「とにかくスペースを押せば次に進むんだな」という情報を端的に明示する方が良いだろう。
もしくはスタートをボタンにしてしまってマウスでクリックさせるというのも直感的でアリだ。
ついでにユーザーの視線を集めるために点滅させたり、スケールを変化させるのも効果的だ。
現状では画面に全く動きがなく、ぱっと見どこを見て良いかが分からない。
視線を誘導する事で、一番注目して欲しい情報を見てもらったり、押してもらうワケだ。
次に「Nを押して操作説明」について。
これに関しては必要性、重要性が分かりづらかった。
初見ユーザーからしたら、そもそも「操作説明を見る」必要があるゲームなのかが分からないからだ。
その状態でゲームが始まって、いきなり「そのままスタート」or「操作説明を見る」を選択させるのはユーザーに負担を与えてしまう。
今回の場合、おそらく操作説明は見ないと遊べないだろう。
そういった場合は任意ではなく、スタート時などに強制的に説明してあげるべきだ。
逆に操作説明を見なくても遊べる場合は、タイトル画面に操作説明は置かない、もしくは目立たないようにしてあげる方が親切だろう。
またわざわざ対応キーを「N」にしたというのも違和感を感じる。
操作説明という意味では、ヘルプ(Help)の「H」にした方が分かりやすいだろう。
ぱっと見、読みづらいというか分かりづらさを感じてしまった。
文章メインではなく、もっとグラフィカルな説明を意識した方が良いだろう。
例えば真ん中にプレイヤーである「ぴょこ田中」を配置してその左右に「←」「→」、上に「スペースでジャンプ」など、テキストを配置していくイメージだ。
また最初は「左右キーで移動」「スペースでジャンプ」の最低限の操作のみ説明して、「止まらない」「3回しか飛べない」「Rでリセット」に関してはステージ1にて説明して欲しい。
何故ならゲーム画面が無い中でシステムについて次々に説明されてもなかなか頭に入ってこないからだ。
ゲーム画面と平行しての説明、かつすぐに実践できるような流れを意識して欲しい。
以上を踏まえて、自分なりにタイトル画面の改修案を考えてみた。
まず単色だった背景を森のフリー素材に差し替えた。これだけでも世界観がグっと引き締まるだろう。
またタイトル画面の中に最低限の操作方法を盛り込んでみた。
これなら大抵のプレイヤーはまず左右キー、スペースキーを押してみるだろう。
プレイヤーが右端のスタートまで移動するとゲームが開始される。
つまりスタートした段階で「左右移動」「ジャンプ」がユーザーの頭の中に入っている事が保証されるのだ。
その後ステージ1に遷移し今度は「止まらない」「3回しか飛べない」「Rでリセット」の説明を順番に行っていく。
「一気に教えない。1つずつ教える。」これがチュートリアルの鉄則だ。
■ステージ選択画面
次にステージ選択画面。こちらも前回のVer1.0と比較してみよう。
大きな変更点は以下。
・Qキーでクレジット確認
・矢印キーでのステージ選択に変更
こちらは大分変更が加えられている。
まずQキーでのクレジット確認について。
これはステージ選択画面に存在する事に違和感を感じた。
クレジットとなっているが実際にはエンディングロールのように表示される。
クリアする事でタイトル画面に追加される…ぐらいがちょうど良いのではないだろうか。
自分の改修案の場合、左側に「スタッフロール」として追加する事で左右対称になるのでピッタリかもしれない(?)
次に矢印キーでのステージ選択について。
前回のキーボードの1~9で選択するよりは大分ゲーム的になったと思う。
ただ操作性が快適かというと少し疑問を持った。
例えば毎回ステージ1が初期値になっているため、後半のステージを選ぶのに右矢印キーを連打しなくてはならないのが辛かった。
長押し対応、もしくはステージ1で左を押したら最後のステージになる等の対応をしてほしい(ステージ1で左矢印が消えないので尚更)
このままステージ数を増やす方向でバージョンアップしていくのであれば、より対策が必要になるだろう。
またステージ数が全部でいくつあるのか分からない。どのステージを遊んだのか、クリアしたのかも分からない。
前回のゆっくり実況動画でも指摘したように各ステージを並べて「未開放」「解放済」「クリア済」の3つの状態を識別できるようにするのが分かりやすいだろう。
まず各ステージを並べることで、全ステージ数の把握が容易になっている(この場合20ステージ)
ステージの選択方法はクリックのみだ。キーボードでの選択は無くても良いだろう。
そして最初はステージ1のみ遊べるようにする。ステージ1をクリアするとクリアマークが付き、ステージ2が開放される。
特定ステージで詰む可能性を考慮するならクリアステージ数+3~5ぐらいのステージを開放したり、スキップ機能があっても良い。
サムネでそのステージの全体像が分かると、目的のステージが探しやすく、再挑戦もしやすいだろう。
何よりこういった画面にすることで、ステージをコレクションの一種のように扱うことができる。
ステージをクリア=埋めていく事で、全ステージをクリアした時の達成感、コンプリート感を高める事が可能だ。
■プレイ画面
次にプレイ画面。こちらも前回のVer1.0と比較してみよう。
大きな変更点は以下。
・タイム制限の追加(タイム増加の廃止)
・ステージ表記の追加
まずタイム制限について。
これに関しては完全に蛇足に感じてしまった。
制限というのは追加すれば面白くなるというワケではない。
むしろ管理する要素が1つ増えた分、遊びづらくなってしまっている。
これが時間内に高得点を狙うようなパズルゲームならまだしも、今回のゲーム性の場合はただ取ってつけたように感じてしまった。
ただでさえ本作はジャンプが3回しか出来なかったり、止まる事が出来なかったりと、操作性に制限をかけているゲームだ。
更にタイム制限までというのは流石に辛い。難しくする方向ではなく、遊びやすくする方向に意識を向けた方がもっと大勢のユーザーに好まれるゲームになるだろう。
ただしスイッチを押した後一定時間で閉まる扉を作る…など一時的なアクセントとしてタイム制限を導入するのは一考の余地アリだ。
次にステージ表記について。
これはあってしかるべき情報なので追加されたのは改善と言えるだろう。
ただ「S」というのが少し分かりづらいので単純に「ステージ1」という表記で良いような気がする。
またUIが左上に固まっているのもあるので、左上に一緒に表示されている方が自然だろう。
ついでに左上のUIについても触れておきたい。
まずは「Rを押してリセット」について。
これはチュートリアルで説明するだけで十分だ。常に大きな文字で表示しておく情報ではないだろう。
チュートリアルを飛ばしてしまった人のためにジャンプの残り回数が0の状態でしばらく時間が経つと、横からひょこっと「Rでリセット」が表示される、なんて機能があるととても親切だ。
次に「ジャンプの残り回数」について。
前回の動画でも指摘したが、3→2→1→0というのは直感的に把握しづらい。
何故3回?という設定、世界観も謎のままになってしまっている。
今回の説明でぴょこ田中がウサギ(!)という事が判明したので、視認性の向上と世界観を考慮して、満腹ゲージにするのはどうだろうか。
ゲージであれば最大値(3)と、空っぽ(0)の状態が周辺視野でも判断しやすい。
ジャンプする度に満腹ゲージが減って(つまりお腹が減る)3回ジャンプすると空腹で動けなくなる…という動物的なキャラクター性も表現できる。
その場合、ゴール(現在はGと書かれた旗)は人参などお腹を満たしてくれるアイテムに変えてみても面白い。
今後「ぴょこ田中」の魅力を引き出していくのであれば、ゲーム内のあらゆる動きでキャラクター性を意識して欲しい。
ウサギであれば可愛らしさや、ぴょんぴょん跳ねる仕草、耳をピンと伸ばす動作、人参や草をカリカリ食べる様子、など人間が持つウサギのイメージを最大限に利用するのだ。
またプレイの操作感に関しては前回と変わっていないように感じた。
現状で問題ないという判断なのだろうか…ここは少し残念なポイントである。
ジャンプ時に壁に触れると張り付いてしまう動きなんかは仕様でないなら是非改善して欲しい(仕様の場合は壁キックをもっとやりやすくして、それを活かしたステージを導入して欲しい)
今回追加されたギミックである「針」も少しかすっただけでゲームオーバーになってしまうため操作していてストレスを感じてしまった。
アクションゲームは操作性が命だ。
いかに気持ちよく動けるか、いかに思った通り動かせるか。
しかも適切な動きはゲームの中身によって全く異なる。
何度もテストプレイし、パラメータを調整して、最高の動きを見つける他ないのだ。
■リザルト画面
次にリザルト画面。こちらも前回のVer1.0と比較してみよう。
こちらも大きく変わっている。
プレイ画面のままシームレスにリザルトに移行するようになったのは好印象だ。
更なるクオリティアップを狙うのであれば、アニメーションを意識すると良いだろう。
現状だとぱっと一瞬でリザルト画面に遷移してしまっているので少し味気ない。
例えば「CLEAR!」という文字を横からシュッと表示させたり、拡大しながら表示させたり、フェードインしながら表示させたり。
やり方は色々あるので他のパズルゲームなんかのリザルト画面を見て参考にしてみると良いだろう。
またクリアした際に「ぴょこ田中」が突然消えてしまうのも謎であった。
システム上の都合で消えているのかもしれないが…出来れば消えずに何かしら動きがあって欲しい。
例えば人参を食べだしたり、グーグー寝てしまったり、ここでキャラクター性を活かさないのは非常に勿体無い。
クリア直後は達成感と安堵感が同時に訪れるパズルゲームとしての頂点(ピーク)なので演出は大事にしたい。
あとはクリア時にジングルが鳴るようになっているが、BGMと同時に流れるため少しゴチャっとした印象を持った。
ジングルが鳴っている最中はBGMの音量を0にして、ジングルが切れると同時にフェードインしてくる方が望ましいだろう。
また「Nを押して次のステージ」というのも少し説明的すぎると感じた。
「タイトル」「ステージ選択」「次のステージ」の3つのボタンをポンと置いておくだけで十分だろう(スコアの概念が無いのでリトライの必要はなさそう)
キーボードでも操作できるようにするのであれば「次のステージ」の下に(N)、(Nキー押下)などを付け加えても良い。
■最後に
個人的にはそろそろオープニングというか、世界観の説明が欲しいなと思った。
「なぜ3回しかジャンプできない?」「なぜ止まれない?」「なぜゴールを目指す?」
こういった部分に意味が乗っかってくると、システムと世界観がマッチして、また1つ上の次元に行ける。
また「ぴょこ田中って何?」「どうやって生まれたの?」「何をしたいと思ってるの?」
というストーリー性、キャラクター性に関わってくる部分が見えてくるとまた違った一面が楽しめそうだ。
全体を通して厳し目の意見になってしまったが、それだけ期待しているということをご理解頂ければと思う。
作者、及び「ぴょこ田中」が今後どう成長していくか非常に楽しみである。
スペシャルサンクスに登場したよ…感謝!